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かぐや姫の物語を観て

高畑監督が亡くなり、「かぐや姫の物語」をテレビでやる事になった。
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実は、高畑監督の作品は、あまりちゃんと観ていないので
一回は観てみようと思った。



この映画の特徴は、水彩画の殴り描きのような素描に近い絵だろう。

この絵柄は…お好み次第だろうか。
好きかと言われると、好きじゃない。
アニメといえば、止まった線の、ポスターカラーで描いたようなぺたりとした着彩が
普通の昨今、この絵は、正直違和感がある。
躍動感はあるが、あまりかぐや姫に躍動感は必要ないので、
動きのない平安時代設定と合ってないと思う。
最初の頃は結構気になって、物語に集中できない感じだったが、
段々物語が佳境になって来ると、見慣れて来て、気にならなくなった。
高畑監督はこれをやりたかったのだろうから、これはこれだろう。
ただ私個人は、こういう物語こそ、
スタジオジプリの緻密で美しい背景や着物などを再現したら、
あまり馴染みのない平安時代も、煌びやかで雅な世界観で
リアル感を感じられたのではないかと思う。


この物語は、かぐや姫の姿を借りて、
女の生きる道、子供の生きる道、人間の生き方を描いている気がする。
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悲しみのない世界、それは喜びも充実も楽しみもない世界。感情の平静な無の世界。
月の世界はその無の世界であり、理想郷であり極楽でもあるが、それは涅槃の世界でもある。
すなわち、死の世界だ。
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かぐや姫は自分の死期を悟ってから、ようやく、
自分の本当に求めているもの、真に欲していたものに気付き、動き出す。
父の望む幸せではなく、誰かに決められた未来ではなく、誰かに乞われて結婚するのではなく。
彼女がずっと抑圧していた心の欲求は、死期が近づいて、ようやく爆発する。
しかしもはや、手遅れだ。
添い遂げたいと願った男の子は、もう別の誰かと結婚していた。

それは同じような我慢をしてしまい、後悔する現代の女性達と変わらない。
社会のしきたりや常識に振り回されて、抑圧してしまう現代の女性の姿、そのものだ。

最期の別れの時に、父親も母親も大泣きして、ここに残ってくれと懇願する。
手塩にかけて、小さい頃から育てて来た子供を、死という理不尽な別れによって
引き裂かれる事への、諦めきれない親の叫びだ。
親の立場になってみると、ちょっと泣けてしまう。
どの親にとっても、この時は身につまされる。

そしてつくづく思うのだ。
善意とは厄介なものだ、と。

翁のして来た事は、自分の為ではない、父親なりに娘の幸せを願っての事だ。
例え本人が望んだものではなかったとしても、だ。
相模とて、かぐや姫を立派な姫にしようと、自分の務めをただ果たしたのだ。
そこに姫の幸せがあると信じ切って、だ。
善意ゆえに、かぐや姫は断れなかった。それゆえ、自分を押し殺して来た。


そんな風に自分を抑えている人は、この世の中になんと多いだろう。
そんな人達全てに向けて、この映画は警鐘を鳴らしている気がする。
今何かを抑圧している人ほど、心に響いて来る映画だろう。

私は子供を思う親の心、そしてその親を思う子供の心をすごく感じた映画だった。



ストーリーは結構、かぐや姫の子供時代を丁寧に描いている。
山や野原を駆け回る、野生的でのびのびした子供時代だ。
不思議な成長をするかぐや姫の素性も描かれていて、普通の人間ではない事が分かる。
後から、この子供時代が効いて来る。

不思議なこと、時間や場所を超える時、
例えば、かぐや姫が怒りに任せて宮中を抜け出す時や、
捨丸にいちゃんと駆け落ち?もどきな逃避行をする時など
いつも夢になってしまうのは、ちょっと都合よすぎる気がしなくもないが、
まあ普通の人じゃないからね。
って事で、許される範囲かな。

そしてこの映画で、秀逸なキャラクターは、なんといっても女童だろうと思う。
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このむっちゃりした顔の愛嬌もさることながら
意外と仕事ができる付き人なのだ。
機転も利くし、気も利く。信用もおける。
画面にこの女童が出ると、釘付けになる。


かぐや姫の犯した「罪」と「罰」について
普通は、月の世界より位が下の、煩悩の人間世界に憧れた事が「罪」であり
その罪ゆえ、人間界へ降ろされてしまったのが「罰」という解釈だろう。
でも私は
生きる為に、人間界に降りたのに
精いっぱい自分に正直に生きなかったのが、かぐや姫の「罪」であり
その罪ゆえ、その願いが叶う前に、月に戻されてしまうのが「罰」なのではないか
と思う。
人々が「極楽浄土」と呼ぶものは、なんとオソロシイ世界だろう。


色々な意味で、とてもよく出来た映画だった。
ついつい観てしまう、そういう魅力があった。
かぐや姫という童話をモチーフにしながら、現代人にも十分共感できる。

ただ、もう一回観たいかと言われると、どうだろう。
完結し過ぎているのか、一回でお腹いっぱいになるのか
何度も観たくなるような気はしない。
でも、一度は観ておきたい映画だと思う。
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